宮廷料理人だった祖母の手料理で育ち、料理研究家へ。祖母の味を継承する崔誠恩さん(前編)


◆会社社長、料理研究家、韓国発酵第一人者と大活躍!!


崔 誠恩(チェ ソンウン)先生は、韓国料理研究家として、また、韓国発酵の第一人者として活躍する料理家さんです。ソウルで生まれ、在日韓国人のご主人との結婚を機に1985年に来日しました。



キムチを通信販売する「崔さんのキムチ」の代表をはじめ、韓国食品を扱うJKフード株式会社の企画室長、また料理研究家として韓国政府が主催する料理教室やプライベートレッスンの講師、さらには韓国発酵食学のゼミ講師など、多彩な顔をお持ちです。



フィトテラピスト(植物療法士)の友人から、韓国の醤油や味噌、豆腐、納豆、キムチ、コチジャン、マッコリなどを作る発酵ゼミがあると聞いて、「面白そう!!」と参加したのが崔先生のゼミでした。



ゼミの内容は、韓国の伝統的な発酵食品を作るだけでなく、理論を学び、幅広い食の分野でどのように発酵食品が活かされるのかを追求するというもの。参加しているのは料理研究家やフィトテラピスト、管理栄養士など、食について知識のある方がほとんど。



ゼミに参加してみて驚いたのは、みなさんから先生ヘのハイレベルな質問にもすべて答える崔先生の知識の深さでした。「料理は化学」が崔先生の持論。ひとつひとつの工程に意味がある。それを丁寧に教えてくれるのです。どうしてこんなに知識が豊富なのか。先生のことをよく知らなった私は、頭の中が「謎」でいっぱいになっていました。その謎解きは、のちほど。



驚いたのは知識の深さだけでなく、先生が作るお料理の多くが、見たことも食べたこともない韓国料理だということ。たとえば、ウズラの鶏の中にミンチにした牛肉と発酵させた椎茸を詰めて蒸すという料理。私が日本人だから知らないのではなく、本国に住む韓国人の方でさえ食べたことがないというスペシャルな料理なのだそう。それは、崔先生のお祖母様が、朝鮮王朝最後の宮廷料理人だったことに関係しています。




「栗はそのまま食べるというのを小学校の時に知りました。祖母は蒸した栗を裏ごしして米の水飴と混ぜて栗の形にし、ケシの実を付けていつも出してくれたので、それが栗の食べ方だと思っていました」

手の込んだ庶民が食べられない料理を、崔先生は幼い頃から口にして育ったのです。



崔先生は、景福宮の真ん前に家がある、裕福な家庭で育ちました。両親と子供5人の7人家族。崔先生は末っ子で唯一の女の子。みんなから可愛がられ、先生曰く「怖い物知らずで育ちました。完全に傲慢になっていたと思います(笑)」



「近所に住む祖母に『○○が食べたい』と電話をすると、祖母が家に来て1週間から10日分の料理を作ってくれました。家にはいろんな人が出入りしていたので、いつも100人分くらいは作っていたと思います」



「祖母の作る料理は何でも美味しかった。料理をしている最中に祖母は私に何度も味見をさせました。味を覚えさせたかったのだと思います。今、私が料理教室やゼミでもみなさんに味見を頻繁にさせるのは、祖母が私にそうやってくれていたからです」(つづく)

文/名須川ミサコ

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「はな組」とは、編集者・博多玲子と、ライター・名須川ミサコの2人で始めた地方活性応援ユニット。地方の魅力を伝えるべく全国各地をまわり、“ニッポンのお宝” と言える美味や手仕事を発掘。それらをイベントやホームページ、ECコンテンツなどで伝えています。

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