高知のミシマ・ワイナリーさんに会いに行く!!

高知に、世界でも希少なワインの生産者さんがいることを知っている人は少ないのでは、と思う。そもそも高知でワインを作るということは気候的に無理と言われている。だからこのワイナリーは高知初のワイナリーでもある。


私たちはな組は、昨年10月高知まで生産者の山中さんご夫妻に会いに行った。

「ミシマ・ファーム」という名前のワイナリーの生産者、山中さんご夫妻は、高知の山側の嶺北エリアでワインを作っている。

ここは、年中温暖な高知にしては、高地で涼しい。


高知の龍馬空港から比較的近いのに、道の両側には深い森も見える。そんな道を走っていくと山中さんご夫妻の「ミシマ・ファーム」があった。途中に川があり、放牧されている茶色の牛が数頭、草を食んでいた。名産のあか牛だ。川辺にいる牛を日本で初めて見た。インドではガンジス川にいる聖なる牛たちを見たが、日本では多分あまり見ない光景だろう。



「ミシマ・ファーム」は、もともとは奥さんのこずえさんの父上が食用のぶどうを作っていた農園だった。そこに福井県から移住したご主人の敏雄さんが、食用のぶどうだけでなく、ワインを作りたいという夢を実現したのだった。



品種は巨峰、安芸クィーン、シナノスマイル、ピオーネ、伊豆錦、高墨。その食用ぶどうでワインを作っている。私たちが伺った時は、ぶどうの収穫が終わった頃。ワイン作りの作業は始まったばかりで、ちょうど、収穫したぶどうを洗浄しているところだった。



樹齢60年、無農薬栽培に切り替えて14年目のぶどうだ。ご夫妻はそのぶどうの房から茎と細かな枝を取り除く「除梗」という作業を手作業で行い、果実を2回洗浄する。1回は電解次亜水で殺菌し、もう1回は真水で。通常、農薬を使っているぶどうでも、ワイン用に洗うことはしないらしい。


「無農薬なのになぜ2回も洗っているんですか?」と、ワインエキスパートの資格を持っていて、ワインに造詣の深い(単なる酒豪か?)名須川が聞く。



「果実に目に見えないカビや病気が付着している可能性があるので、衛生上の配慮からです。一番はカビアレルギーの方のことを考えて。あとは雑菌が発酵の妨げになるのを防ぐためと、味への影響がないようにするため。酵母には培養酵母を添加しています」


洗浄した果実を、水切りして乾燥させてから足踏みで果実をつぶす。裸足でつぶすわけではないが、なんと昔のやり方そのままでワインを作っているのだ!これには、名須川が驚愕した。

これだけの手間をかけてできたのは、2019年は白413本、ロゼ1,074本のみ。



雑菌をなるべく減らしたいから水洗いを2回もすること、昔ながらのやり方で果実を足でつぶして作る。そして、できれば入れたくない亜硫酸塩(酸化防止剤)は最小限におさえて作っているそうだ。これは、ヨーロッパの自然派ワインと同じ基準だそうだ。



「こちらへどうぞ」と案内してくださった部屋はこじんまりとしていて、ここは事務所で、奥にワインの醸造所があるとばかり思っていたら、そこに積んである黒いポリタンクに入れてあるワインが醸造中のすべてで、奥には醸造所はなかった。


年間2000本作るのが目標だが、なかなか収量が上がらず、2019年は1500本弱の仕上がりだという。最初は完全なビオを作りたくて、亜硫酸塩を入れずに作ったら見事に失敗。それ以来、亜硫酸塩は最小限だが使わないと変質しやすいので入れている。


最後に試飲させていただいた。なんてきれいな味わいなのだろう。白ワイン、ロゼワインの2種あるが、どちらも和食に合いそうな味。特に白ワインは秀逸。外観は少しオレンジがかっていて、ノンフィルターだからやや濁りがある。香りはカリン、アプリコット、桃、りんごなどのフルーツや、発酵のイーストの香りも。豊かな果実味があり、すっきりとした酸味。ほのかなタンニンがほどよくワインを引き締めていて、オレンジワインのニュアンスを持ち合わせている。


「今、自分たちでできることをアナログでやるしかないんです」という誠実な思いがワインに込められていると思う。お料理は、高知のナスの叩きや、豆腐、あか牛に合いそうだ。


伺った「ミシマ・ファーム」の近くに清酒「桂月」で知られる「土佐酒造」という蔵元さんがある。こちらもきれいなお酒を作っていて、どれも美味しい。



嶺北には美味しいワインと日本酒がある!

それがわかって、ムフフ、やったね!と喜ぶわれわれ。

その後、この山中さんのワインの美味しさを東京にいる皆さんにも楽しんでいただきたいと思っていたところに、銀座にある高知県アンテナショップ「まるごと高知」広報の野戸昌希さんからイベントのオファーをいただき、アンテナショップ2階の「おきゃく」という高知の食とお酒を楽しめるレストランでお披露目をすることになった。

「おきゃく」の料理長山下裕司さんと相談し、「ミシマ・ファーム」のワイン、「土佐酒造」のお酒、そして高知の食材を使った料理をペアリングでお出しすることになったのだ。

(つづく)

文/博多玲子

はな組 公式サイト

「はな組」とは、編集者・博多玲子と、ライター・名須川ミサコの2人で始めた地方活性応援ユニット。地方の魅力を伝えるべく全国各地をまわり、“ニッポンのお宝” と言える美味や手仕事を発掘。それらをイベントやホームページ、ECコンテンツなどで伝えています。

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